危険な商品を売る人の資質

もう随分と昔の話ですが、大きなバイクショップでアルバイトを募集していたので、私は履歴書を書き勇んで面接に向かいました。

面談は進み、通勤の話になりました。そこで店主が言った言葉に耳を疑いました

「アルバイトとはいえ、戦力なので怪我をすると困りますからウチではバイク通勤は禁止しています。

君の家からウチまでは電車で随分とかかるけど、大丈夫?」

 

その時、私は間抜けな顔をしていたと思います。呆然、驚き、怒りが混ざった感情となり、

生意気盛りだった私は、この人はおかしいと思いました。

この会社は、その危険な物を売って修理して衣食しています。当然、通勤用にバイクが欲しいというお客様も

いらっしゃる筈です。この人は、そういった方にも同じ言葉を言うのだろうかと思うと怒りが湧いてきました。

人間の感情は反射するものですから、私はもちろん採用されませんでした。

泡沫会社ですが、経営者となった今ではその気持ちも理解出来ますが、

やっぱりこの会社はおかしいと今でも思います。

 

以前、何かの雑誌にヨシムラさんの特集がありまして感慨を受けました。うろ覚えですが確か、

「ウチの若い者は血の気も多いし、通勤で事故を起こさないか心配だ」

と書いていまして、バイクに携わる人間として当然だよなと一人頷きました。

己の職業の存在価値を否定してまで儲けたい人は守銭奴であって、ビジネスマンとは言えません。

一番の理想は、安全で快適な道路環境が整備される事ですが。